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Japanische Klassiker mit Furigana

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あおきのしゅっきょう

青木の出京

菊池 寛

Lesen Sie 青木の出京 (あおきのしゅっきょう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.513 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

彼の理性はいった。「貴様は青木に対する盲動的感激のために、一度半生を棒に振りかけたのを忘れたのか。強くあれ! どんなことがあっても妥協するな」彼は、やっとその言葉によって踏みとどまった。「僕は、一週間ばかり前に上京したのだが」と、青木はいった。彼の目付とはやや違って、震えを帯びた哀願的な声であった。が、雄吉は思った。青木のこんな声色は、もう幾度でもききあきている。今更こんな手に乗るものかと思った。が、青木はまた言葉を継いだ。

「実は明日の四時の汽車で帰るのだ。今度僕は北海道の方へ行くことになってね。今日実は君に会おうと思って、雑誌社の方へ行ったのだが……」と、いいかけて、彼は悄然として言葉を濁した。雄吉は明らかに青木が彼の憐憫を乞うているのを感じた。雄吉と同じく、極度に都会賛美者であった青木が、四、五年振りに上京した東京を、どんなに愛惜しているかを、雄吉はしみじみ感ずることができた。が、一人も友達のなくなった彼は、深い憎悪を懐かれているとは知りながらも、なお昔親しく交わった雄吉を訪うて、カフェで一杯のコーヒーをでも、一緒に飲みたかったのであろう。雄吉は、青木のそうした謙遜な、卑下した望みに対して、好意を感ぜずにはおられなかった。