Japanische Klassiker mit Furigana
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せいどうのキリスト
青銅の基督
長与 善郎
Lesen Sie 青銅の基督 (せいどうのキリスト) von 長与 善郎 (ながよよしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.703 Zeichen · 133 Bildschirme
」
「いいんですか。」裕佐は畏れるようにモジモジと口ごもった。「僕は上がるつもりではなかったんですが。」
「いいどころではありませんよ。むろん。」
吉三郎はこういって自ら上がりながら、この「よくやって来た珍客」に何か歓迎のお愛想をいわないかと促すように姉を見た。
「ほんとうにようこそ。――ずいぶん大変でございましたでしょう? こんな山ん中で。――」
むしろ努めた感じでこれだけのことをいったモニカの調子は、もはや心に思う半分もいい現わし得ぬ、はじらい深い娘の口調ではなかった。ましてそこにチャーミングな余情を含ませんがためのわざとらしいあまい「舌足らずさ」ではない。かといって、それはまた善良な教養のある人妻にのみ見られる一種の世故慣れた母らしい落ちつきの声でもない。決して無愛想な調子ではないが、気のきいた世俗的な感じではさらにない。冷たいというにしては奥底に「心」がありすぎる。しかしただ温かく、柔和なというのともちがう。それでいて角立たしい気持ちがあるのではみじんもない。
「ずいぶんしばらくでございましたね。」
むしろ弟の方にからだを向けながら彼女はまたこういって裕佐の前に高島田に結った頭を下げ、軽く手を突いた。