Japanische Klassiker mit Furigana
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あおひげにひゃくはちじゅうさんにんのつま
青髯二百八十三人の妻
久生 十蘭
Lesen Sie 青髯二百八十三人の妻 (あおひげにひゃくはちじゅうさんにんのつま) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.736 Zeichen · 28 Bildschirme
刑事の一人がつぶやいた。
「なんだ、ランドリュじゃないか。自動車の直しをしたり、中古自動車のブローカァをやったりしていたやつだ。たしか、五つや六つは窃盗の前科があるはずだ」
失踪人の関係者というだけでは、令状が出ない。犯罪簿をしらべると、窃盗の古い前科が出てきたので、とりあえずそれを名目にして身柄をおさえることにした。
翌朝、十時頃、ランドリュが通りへ新聞を買いに出てきた。刑事は帰ったところを見すかしてランドリュの部屋の扉をノックした。ランドリュはソファで新聞を読み、愛人のセグレェは寝床の中にいた。
「アンリ・デシレェ・ランドリュ……せっかくのところを気の毒だが、ちょっといっしょに行ってもらうよ」
「おどろきましたね。どんなご用です」
「むかし勤め残した口があるだろう。たぶん、そのためだと思うがね。たいしたことではなさそうだ」
ランドリュは上着を着こむと、逆いもせずに刑事といっしょに部屋を出た。
リュクサンブゥル公園のわきから、セェヌ河の中洲にある警視庁までは歩いて二十分ほどの距離である。春めいたよく晴れた朝だった。三人は冗談を言いながらサン・ミッシェルの通りをセェヌ河のほうへブラブラ歩いて行った。