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Japanische Klassiker mit Furigana

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かばんらしくないかばん

鞄らしくない鞄

海野 十三

Lesen Sie 鞄らしくない鞄 (かばんらしくないかばん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.653 Zeichen · 73 Bildschirme

Aozora Bunko

なんという名前だったかな。ええと、万沢といったかな。……)

田鍋課長は、えらいことを思い出した。彼の胸の中は、今や沸々と沸騰を始めた。しかし帆村はそんなことを知らない。

美しき闖入者

田鍋課長の知っていることを帆村は知らず、帆村の知っていることで田鍋課長の知らぬことがあり、両人肩を並べて窓の中を覗き込んでいるところは奇観だった。

後を向いて、ごそごそやっていた小山嬢が、くるりとこっちへ向き直ったと思うと、彼女の手に一疋の仔猫があった。それをきっかけに美貌の青年も、廻れ右をして、仔猫を見ることを許された。

小山嬢は、頬のあたりにいきいきとして血の色を見せながら、その仔猫を抱いて、博士の首吊り死体の傍へ寄った。そして博士の服の胸を開くと、その中へ仔猫を入れて、しばらくなにかごそごそやっていた。そのうちにそれが終ったと見え、彼女は博士の胸の釦をかけて身を引いた。

するとふしぎなことが起った。博士の死体が椅子からふらふらと立上ると見るや、なおそれはふわふわ上へ上って行く。博士の首にからみついている綱がだらりと下へ下る始末。そのうちに博士の死体は、頭を天井にこつんとぶつけ、天井に吸いついたようになってしまった。