Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.712 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

……軍鶏籠の胴中へ白刃を一本さしこんでおいて、それを、こっちから向うへ抜けるんですが、あのくらいの芸があれば、今晩のようなことはわけなくやってのけるでしょう……してみりゃア、埓もないはなしです。こんなものに恐れる必要はちっともありゃしません」

白刃をふるって斬りこまれたり、闇討ちに遭いかけたことは、これまでたびたびあったことだし、そう言われれば、なるほどこれくらいの威かしに今さらびくつくこともいらないわけで、ほかの四人も、もっとも、とうなずいたが、それでも、なにか心の隅に、結んでとけぬ暗い思いがあった。

そうするうちに、町与力の一行がやって来た。

検屍が済んでから、ひとりずつ別間へ呼ばれて取調べを受けたが、さっきも言ったように、五人ながら円卓から離れなかったということはお互いがよく知っているので、おのおのの申し立ての符節があい、このまま引きとって差しつかえないということになった。

検屍がすんだのは、ちょうど七ツごろで、もう東の空が白みかけている。

雨あがりの上天気で、きょうもさぞ暑くなりそうな、雲ひとつない曙の空に、有明月が残っている。

なにしろ、ずっと夜あかしで、それに、気を張りづめだったから、さすがに疲労をおぼえて、これから駕籠に揺られて帰る気はない。