Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.712 Zeichen · 29 Bildschirme
……見ん事しくじったら、おれがひとりでひっしょって、坊主になってやるから安心しろ」
「あなたを坊主にして見たってしょうがない。それより、テキがやって来てくれたほうが、よっぽど有難いんで……」
「せっかくだが、ひょろ松、ひょっとすると、テキなんぞやって来ないな」
「えッ、なんですって」
「おれは、テキがやってくるなんてひとことも言ったおぼえはないぞ。ただ、和泉屋が今晩やられると言っただけだ」
「こりゃあ、驚いた……すると、これだけの人数を伏せたのは、いったい、どういうことになるんで」
「つまるところ、ぼくよけだ」
「ぼくよけ……」
「敵を油断させるための遠謀深慮さ」
「すると、あなたは……」
「いかにも、その通り、おれの見こみでは、下手人はたしかに残った四人の中にいる」
「えッ」
「あの晩のことをよく考えて見ろ。……広座敷から出て行った証拠も入った証拠もないとすると、下手人はあのとき座敷にいた五人の中にいたのだと思うほかはなかろう」
と言って、チラリと土蔵のほうへ流眄をくれながら、
「だから、うまく言いくるめて土蔵の中へご避難をねがい、うかつに出られねえように締めこんであるんだ」