Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.712 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

どんなことがあったって、鼠一匹はいだせるものじゃありません」

そう言っているところへ、泉水のむこうの植込みの下から影のように這って来たひとりの若い男。廂あわいの近くまで来て、

「旦那……」

「おお、猪之吉か。……柚木先生にお目にかかれたか」

「へえ、お申しつけ通り、ご返事をいただいてまいりました」

「早く、こっちへよこせ」

引ったくるように受けとると、封を切る間ももどかしそうに月の光で立ち読みをしていたが、

「おッ、やっぱり、そうだったか」

このとき、とつぜん、土蔵の土扉をはげしく打ちたたく音とともに、

「もし、どなたでも早く、早く……和泉屋がたいへんだ……和泉屋が死んでしまった!」

と、大声にわめき立てる声がする。

顎十郎は、

「しまった。遅れたか」

と、叫びながら、一足飛びに戸前のほうへ飛んで行き、錠をガチガチさせて、てっぱいに土扉を押しあけて土蔵の中へ飛びこんで見ると、例の通り、和泉屋が蕃拉布で首を締められて、薄暗い板敷の片隅で、虚空をつかんであおのけに倒れている。……鼻に手をやって見ると、はや、もうまったく事切れ。

顎十郎は、うしろに引きそって来たひょろ松に、