Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.061 Zeichen · 22 Bildschirme
その仔細というのは……」
又右衛門の連れあいは、四年ほど前に時疫で死に、いまは親ひとり子ひとりの家内。
奥むきのことは、お年という気のきいた女中が万事ひとりで取りしきり、表むきは、作平という下男頭が、小作人の束ねから田地の上りの采領まで、なにくれとなく豆々しくやってのけ、立つ波風もなく、一家むつまじく暮らしていたが、この年の春、娘のお小夜が、気にいりのお年をつれて水上堤へ摘草に行ったとき、とつぜん、石垣のあいだからニョロニョロと一匹の山棟蛇が這いだした。
江戸の生れで、下町で育ったお年という女中は、長虫ときたら、もう、ひとたまりもない。かばうはずのやつが、お小夜の背中にくいついてまっ青になって慄えている始末。
お小夜は、切羽つまって、追いはらうつもりで無我夢中にひろって投げた石が、まともに蛇の頭へあたり、尾で草をうちながら蓬のあいだをのたうちまわっていたが、間もなく、白い不気味な腹を上へむけて、それっきり動かなくなってしまった。
見ると、頭が柘榴を割ったようにはじけ、グズグズになった創口からどろりと血が流れだしてまっ赤に草を染めている。
ふたりは、ひきつけそうになって、這うようにして家まで逃げ帰ったが、その晩からお小夜は大熱、