Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.494 Zeichen · 26 Bildschirme
三太夫ていの老人は、御用聞をかきわけて前へ進みだし、血走った眼で顎十郎を睨みつけながら、
「そちらは間違いであろうと、わしの眼には間違いはない。ここな大泥棒めが。……殿様の褥に大あぐらをひっかき、酒を持って来いの、小鉢だのと、女賊を顎で追いつかい、しなだれるやら、色眼をつかうやら、恐れげもなく殿様の御定紋入りの羽織など着くさって、おれがここに控えておれば、金蔵破りのほうはいっさい心配はいらぬと大仰な頬桁をたたいておったのを、わしはたしかにこの耳で聞いたぞ。これでも言いぬけする言葉があると申すか、不敵なやつめ」
顎十郎は、さすがに酔いもさめてしまった顔つきで、
「なるほど、そういうわけだったのか。……藤波さん、あなたの勘違いはもっともだが、これにはこういうわけがある。そいつをひとつ聞いてもらわねば……」
藤波は、冷然たる面持で、
「言うことがあったら、出るところへ出て申しあげろ。……おい、かまわねえから繩を打ってしまえ!」
声に応じて、バラバラと走りでた下ッ引。
「神妙にいたせ」
「神妙にいたさば、御慈悲を願ってやる。悪る足がきをしねえで、お繩をうけろ」
四方から飛びついて、高手小手にいましめる。