Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.435 Zeichen · 27 Bildschirme
これで、おあとと入替え。
ところで、この鯨が一夜のうちに紛失してしまった。
鯨の昇天
深草六兵衛の小屋では、その夜は当祝。
追出しをすましてから、櫓主、若太夫、帳元、奥役、道具方一統から踊子、口上役、ぜんぶ櫓裏の二階へあつまって飲めよ唄えよの大騒ぎ、これが八ツ(午前二時)から始まった。
若太夫が祝儀をのべて一同手をしめ、櫓主の六兵衛が小屋方一同に酌をしてまわる。当祝の儀式がすむと、引きぬきになって大兜。お手のものの三味線、太鼓、陣鉦を持ちだし、これに波音まで入って無闇な騒ぎになる。
七ツ近くに小屋師の勘八というのがよろける足で不浄へおりて行った。
桟敷の上をつたいながら、月あかりでぼんやり仄明るくなっている飾場のほうを眺めると鯨がしょんぼりと寝ころんでいる。
「やア、寝っころがっていやがるな」
で、そのまま用を達してまた二階へあがった。
それから、ちょっと間をおいて、下座三味線をひくお秀という娘が不浄へおりて行った。このときもたしかに鯨はいたのである。それから、またちょっと間をおいて、こんどは木戸番のよだ六がおりて行った。だがこのときはもう鯨はなかった。