Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.435 Zeichen · 27 Bildschirme
もうそろそろ這いだして来そうなもんだと思っているのに、いつまでたっても帰って来ないから、見物にまぎれて様子を見に来て見ると、いま言ったような始末なんだ。そこで、思いついたのがこの一件さ……」
ひょろ松は、嚥みこめぬ顔で、
「そんなら、頭を縛った綱だけ取りゃアそれですむことでしょう。そんな手間をかけて鯨を切りきざんで持って行かねえだってよさそうなもんだ……」
「そこが、伏鐘組の尋常でねえところだ。下手な真似をすれば、伏鐘はきょうまで鯨の中にいたんだと見当がつき、それからそれと足がつく。こういう大掛りなことをして鯨が昇天でもしたように見せかければ、みなは不思議のほうに気を取られて、伏鐘のことまで考える暇はない。まず、ざっとこんなぐあいだ」
「よくわかりましてございます。心底、恐れ入りましたが、もうひとつわからねえことがある。……昨日から今日にかけて江戸じゅうに手を配った大捕物。なかんずく、この両国界隈は辻々、露地の入口まで隙間もなく人をくばって蟻の這いでるセキもなかったはず。北へ行けば、両国橋か千歳橋。南へ行けば両国二丁目の辻番か中ノ橋の辻番所。この四つの関所で四方から袋のようにかこまれているンだから、三十人もの人間が、鯨の肉などひっかかえてウロウロと這いだしたら、たちまち網にひっかかるにきまっているンだが、そういう