Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.984 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

となりのさんざめきを聴きながら、毎日、愚痴ばかりこぼしていたが、そのうちにとうとう我慢ならなくなったと見えて、ある日、唐突に『大清』のところへ来て、仲働きにでもつかってもらいたいと言い出した。

『大清』もおどろいたが、なんといってもむかし仲町で鳴らしたからだ、老けたといっても取って二十五。愛嬌のある明るい顔立ちで婀娜めいたところも残っている。頼んでも来てもらいたいようなキッパリとした女っぷり。

藤五郎も喉から手が出るほどだったが、なんといっても他人の家内なんだから、当人がいいなり次第にそれではと言うわけにはゆかない。ご主人の判でもあったらお引きうけしましょうと言って帰すと、おもんははっきりしたもので、判どころではない、吉兵衛の三下り半を持って引っかえして来て、これならば文句はありますまい、と言った。

むかし、あれほど入れあげた吉兵衛が、よくまア素直にこんなものを書いたもンだと、藤五郎が言うと、おもんは、となりへ仲働きに行くでは、どうせすったもんだでこんなものを書くわけはないから、『大清』の藤五郎さんのところへ後添いに行くつもりだから、きっぱりと縁を切ってくれと言いますと、吉兵衛は、しばらくわたしの顔を眺めていましたが、お前はどうせ島育ち、死ぬまで野暮ったく暮せるはずはない。