Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.550 Zeichen · 27 Bildschirme
それで、その証拠は」
「あたしがここへ入ると、あなたと話をしながら飯台のほうばかり眺めていましたろう。いったい、なにをしていたと思います。ひい、ふう、みいと、盃の数ばかり数えていたんです。たぶんひょろ松からお聞きになったことでしょうが、昨夜、あたしととど助がここにいたんです。……あたしととど助と六平、それに中間どもが五人。〆めて盃が八ツでなければならないのに、ごらんの通り、ちゃんと九ツあります。あたしは如才なく加代姫に念をおして見ましたが、加代姫は、ここで酒など呑んでいないのです。してみると、あたしの推察どおり、加代姫が帰ったあとで、別なだれかがやって来た。それが、濠へ沈められた三枝数馬だというんです。……その証拠ですか? 実に、簡単なことなんです。……いちばん手近な盃の下に懐紙を四つに折って盃台にしてあるでしょう。懐紙の紙はご覧のように、薄紅梅を刷りこんだお小姓紙。懐紙で盃をうけることは小姓でなければしないことです。……嘘だと思ったら、あの盃を改めてごらんなさい。あの盃だけには毒がはいってないはずですから……」