Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.406 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

孫娘の仲のいい友達、せめて棺だけはじぶんで背負って行ってやろうと、小僧に湯灌のものをかつがせ、杖をつきつき万屋まで届けにまいりましてございます」

「なるほど、念のためにもう一度おうかがいしますが、棺はけっして玄関から奥へ入らなかったんですな」

「奥へ運びますどころか、背からおろすやおろさず……」

顎十郎は、バラリと腕をといて、

「なるほど、よくわかりました。序のことにもうひとつ馬鹿なことをお訊ねしますが、もしかして、万屋まで背負って行く途中で、道ばたへ棺をおろして休んだようなことはありませんでしたか」

「茂森町といえばつい目と鼻のさき、おろすも休むもそんな暇もないわけで……」

「いや、ごもっとも。世の中にはいろいろ変ったこともあるものですが、ひょっとして、背中の棺がその日にかぎっていつもよりしょい重りがしたというようなことはございませんでしたか」

「……棺桶といえば椹か杉にかぎったもの。棺桶は棺桶だけの重さ。その日にかぎって重かろうわけなぞありますものか。老人をおからかいなすっちゃいけません」

「いや、どうもこれは失礼。飛んだお手間を……」

トホンとした顔つきで平野屋の店さきを出ると、そこから霊巌寺門前町の浄心寺の境内。