Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.904 Zeichen · 28 Bildschirme
「おい、ひょろ松、それで鰭売はどう言うんだ」
「……たしかに、その日その刻、おっしゃる家の近くを通りましたが、あっしは塀の外をふれて歩いたばかり……。ちょうどその日、浅草材木町の石田郷左衛門の家と下谷の山本園の近くで、佐吉というその鮨売がふれて行くのを見ていたものがいて、それが証人になっているンですから佐吉の言うことには嘘はないらしいンです」
「それは、どこの売子だ」
「両国の与兵衛鮨の売子です」
「ほかの二人のほうはどうだ」
「大桝屋のお文のほうは、堺町の金高鮨の売子で新七。……桔梗屋のお花のほうは、深川の小松鮨の売子で、八太郎というンですが、この二人のほうもべつに娘たちに近づいたようすはないンです」
「それはそれでいいが、そいつらはいったいなんと言ってふれて歩いたんだ」
「……小鰭の鮨や、小鰭の鮨……」
「笑わしちゃいけねえ。小鰭の鮨売が小鰭の鮨というのには不思議はなかろう。そのほかに、なにか無駄なセリフがなかったのかと訊ねているんだ。文句にしろ唄にしろ、娘を引っぱり出すような気障なふれ方をしたのじゃなかったのか」
「いいえ」
「こいつア驚いた。どうしてそれがわかる」