Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.960 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

ひょろ松は、せきこんで、

「そんなことばかり言ってたってしょうがない。現実に四人までそんなふうにして殺されているんだから、いずれにしてもなにかの方法で殺ったのに相違ない。近江屋の一家に隠れた悪業があって、大国魂さまが罰をあたえるためにお神矢を放ったというわけでもありますまい。いったいどんなふうにして殺ったものでしょう」

アコ長は、いつものヘラヘラ調子になって、

「木曽あたりの猟人には、夜でも眼の見える猫眼梟眼というのがあるそうだ。たぶん、そんな手あいでも殺ったかも知れんな」

今まで黙っていた藤右衛門、出しぬけに膝をうって、

「お話の最中ですが、猫眼というなら、そういうのがこの町に一人いるんでございます」

顎十郎は息を呑んで、

「えッ、それは、いったい、どういう男なんでございます」

「近江屋の分家で黒木屋五造というごく温和しい男なんですが、生れつき夜眼が見え、まっ暗がりの土蔵なんかでも、龕灯いらずに物もさがせば細かい仕事もするという奇態な眼を持っているので、この町じゃ誰も本名を呼ばずに猫眼、猫眼といっております」

「ほほう、それで、その猫眼は御渡御の行列についているんですか」