Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.960 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

藤右衛門は、手を振って、

「いやア、そのご斟酌には及びません。以前は江戸一の捕物の名人、仙波さんといえば、あっしらにとってはまるで神様のようなもの。その方がわざわざお出でくださったというのに繩張も管領もあるもんじゃありません。どうか、ご存分に」

「ご挨拶で痛み入ります。そういうことならばおぼしめしに従いますが、ご承知の通り、役儀の表で調べるというわけには行かない。いわば、ひょろ松の代理。そのへんのところもお含みおき願います」

「じゅうぶん、承知しております」

「では、あなたのお番屋を拝借することにいたしますが、早速ですが桜場清六と黒木屋五造をお引きあげくだすって、五造が背負っていた胡※(「竹かんむり/(金+碌のつくり)」、第3水準1-89-79)と、桜場の弓矢もついでにお取りよせ願います」

「かしこまりました」

頃あいをはからって、アコ長、とど助、ひょろ松の三人が番屋へ入って行くと、五造と桜場のふたりを中仕切のある板の間へべつべつに控えさせてある。

桜場清六のほうは、赭ら顔の大髻。眼尻が吊しあがって、いかにも険相な面構えなのに、黒木屋五造は、色白のおっとりとした丸顔で、田舎の大店の若旦那にふさわしいようす。