Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.960 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

これは暗闇の目じるしにするために四人の水干の襟に烏賊の腸汁を塗ったンです」

「へへえ、そういうわけでございましたか」

アコ長は、五造にむかい、

「五造さん、あなたはこの四人の襟もとが光るのを、たしかにごらんになったのですね」

「さようでございます、確かに見ました」

アコ長は、それを聞き流してひょろ松に、

「これで、もう話はわかったようなものだ。ひょろ松、構わねえからふン縛っちまえ」

合点承知、とひょろ松が立ちあがって、ムンズリと坐っている桜場のほうへ詰めよって行くと、アコ長は、手でおさえ、

「おいおい、見当違いしちゃいけねえ。下手人はそっちじゃねえ、この猫眼のほうだ」

ひょろ松は、驚いて、

「ご冗談。……猫眼というのは夜眼のきくもの。なにもそんな手数をかけて烏賊の腸汁なんぞ塗ったくる必要はねえじゃありませんか」

アコ長は、それには答えず、いきなり五造の手を取って、

「たいそう巧くたくらんだが、訊きもしねえことをすこし喋りすぎたようだ。暗闇なればこそ烏賊は光るが、明るいところでは見えねえはず。おまえさんは猫の眼玉でまっ暗闇でも黄昏ほどの明るさで物が見えるという。