Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.960 Zeichen · 24 Bildschirme
兵には糧、駕籠屋には酒。ちゃんと兵法の書にも書いてある。あんたもあわてずドシコと飯でもつめこんでおきまっせ」
銀簪
ようやく腰をあげたのが、正午すぎの八ツごろ。
アコ長もとど助も空っ腹にむやみに飲んだもんだからへべれけのよろよろ。一歩は高く一歩は低くというぐあいに、甲州街道を代田橋から松原のほうへヒョロリヒョロリとやって行く。
駕籠の中のひょろ松は大時化にあった伝馬船のよう。駕籠が揺れるたびに、つんのめったりひっくりかえったり、芋の子でも洗うような七転八倒。
座蒲団なんてえものもなく、荒削りの松板に直に坐っている上にあっちこっちにぶっつけるもんだから頭じゅう瘤だらけ。
ひょろ松は、情ない声で、
「もしもし、お二人さん。なんとかも少しお急ぎくださるわけにはまいりますまいか。このぶんじゃ府中へつくと夜があけてしまいます」
アコ長は、膠もなく、
「まア、あわてるな。どうせ一本道。ブラブラやって行くうちに、いずれは府中へつく。……それはそうと、ひょろ松、いったい、どんな用むきで府中へなどすっ飛んで行くのだ。ひとつ眠けざましに聞かせたらどうだ。おもしろい話なら久しぶりに、ひと口のってやってもいい」