Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.468 Zeichen · 25 Bildschirme
そう言っているうちにも、おいおい引く息ばかりになって、どうやら覚束ないようすになってきた。
「椿庵先生、もうちょっとのあいだ、命を取りとめるように手を尽してみてください。阿波屋の怪死の秘密はこいつの口ひとつにかかっているのだから」
「よろしい、なんとか及ぶ限りやってみましょう」
ふと気がついて見ると、今まで部屋のすみで泣き伏していたお節の姿が見えない。ひょろ松は怪訝な顔で、
「おや、いまいたお節という娘はいつ出て行きましたろう。なにかあの娘にいわくがありそうだからちょっと問いつめてやろうと思っていたんですが」
と、言っているところへ大工の清五郎が駈けこんで来て、怯えたような低い声で、
「……妙なことがあります。お節さんが、梯子をのぼって、いま屋根裏へ入って行きました」
アコ長は、キッとして、
「お節が、屋根裏へ?……そりゃほんとうか。見間違いじゃないだろうな」
「見間違おうたってこのいい月。決して間違いはありません。……こう、怯じたように後さきを見ながらあっしのあけた破風の穴からソロソロと屋根裏へ入って行ったんです」
「よし、じゃ降りて来るところを。……感づかれるといけないから、あまり大勢でないほうがいい。