Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.604 Zeichen · 28 Bildschirme
岸に、踵のまくれ上った、玉子ねじの鼻緒のすがった比丘尼草履がきちんとぬいである。
顎十郎は、うっそりと懐手をして突っ立ったまま草履を眺めていたが、それを手にとって素早く表裏へ眼を走らせると、無造作に地べたに投げ出す。
ようやく南組の同心がやって来て、あっさりと検視をすませ、手控をとると庄兵衛に目礼して引取って行った。
入りちがいに、ひょろ松がやって来た。
庄兵衛は、せっかちに問いかけて、
「どうだった、身許がわかったか」
ひょろ松は、汗を拭きながら、
「いえ、それが妙なんで、下ッ引を総出にして江戸中の尼寺はもちろん、御旅所弁天や表櫓の比丘尼宿を洩れなく調べましたが、家出した者も駈落ちした者もおりません。……非人寄場の勧化比丘尼のほうも残らず浚いましたが、このほうにもいなくなったなんてえのは一人もねえんです。……ご承知のように、比丘尼の人別ははっきりしていて、府内には何百何十人と、ちゃんと人数がわかっているものなんですが、それに一人の不足もない。……いってえ、この比丘尼は、どこから来て、どういう筋合で身を投げたものか……」
顎十郎は、二人のうしろに立って話を聴いていたが、だしぬけに口を挾み、