Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.604 Zeichen · 28 Bildschirme
……。たぶん、質屋か古着屋ででもあるのだろう。『かはかつや』は川勝屋とでも書くのだろうか」
ひょろ松は、頓狂な声を出して、
「あります、あります、小川町一丁目の川勝屋といったら、大老舗の質屋です」
「それだ。……そこへ行って、渡辺が質に入れた着物をしらべて見ると、なぜ馬の尻尾で腹を切ったか、くわしくわかるにちがいない」
その夜、庄兵衛とひょろ松が、尼寺のその巣を突きとめ、踏みこんで見ると、どこからか機を織る筬の音と低い機織唄がきこえて来る。
尼寺の床下が、広い機織場になっていて、牢造りになった暗い穴蔵で、三十人ばかりの青坊主の女が、馬の落毛の撚糸を経糸にし、自分らの髪の毛を梳きこんで呉絽を織らされていた。これらはみな長崎屋市兵衛とその一味が近在の機織女を誘拐して来たものだった。
渡辺利右衛門のほうには、気の毒な話があった。
ひょろ松が、顎十郎に教えられた通り、神田小川町の川勝屋へ行って、利右衛門が質入れした着物の衿をしらべて見ると、そこから細々としたためた本当の遺書が出てきた。
事情は、こうだった。
利右衛門が、まだ上総の御馬囲場でつまらぬ野馬役をしているとき、長崎屋市兵衛に五十両という金を借り、その抵当に妹のお小夜を長崎屋へ小間使につかわした。