Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.604 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

……でもね、惜しいことに、もう、すっかりかたがついてしまったんで。……ちょっと変った出来事だったんですが……」

「それは怪しからん。……おれに断りもなく、なぜ、かたをつけた」

「へへへ、こりゃどうも……。初はちょいと入り組んだ事件だったんですが、なにしろ、下手人が出て、腹を切って死に、一切合財、結末がついてしまいました。……これじゃ、いかなあなたでも、どうしようもない……」

ちょっと、言葉を切って、

「……あなたも、お聞きになったことがあるでしょう……ほら、馬の尻尾……」

顎十郎は、うなずいて、

「誰かしら、むやみに馬の尻尾を切って歩くという話か」

「へえ、そうなんで。……切りも切った、五十七匹。……手初めが、上野広小路の小笠原左京の廐で、『初雪』という御乗馬の尻尾を、根元からブッツリ。……一日おいて、その翌日には、山下門内の鍋島さまの廐。ここでは白馬だけえらんで四匹。……譜代大名の廐でやられなかったところは一つもないと言ってもいいくらい。……なにしろ、馬の尻尾てえやつは如露で水を撒いて芽を出させるというわけにはゆかない。江戸中のお屋敷じゃ大迷惑。……尻尾のない馬なんぞ曳出すわけにはゆかないから、この月初、日比谷ガ原で催すことになっていた馬揃調練の御上覧も、それでお取止めになったというわけで……」