Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.604 Zeichen · 28 Bildschirme
顎十郎は、噴き出して、
「いや、どうも、おかしな盗人もあればあるものだ。……そりゃあ、いったい、どんなやつの仕業だったんだ」
「西丸の御召馬預配下、馬乗役で、五十俵三人扶持。……渡辺利右衛門というやつがやったことだったんで……」
「御召馬預役というのは、どんなことをする役目だ」
「……若年寄支配で、御城内のお廐一切のことを司る役なんでございます。……御召馬の飼方、調方。……御用馬や諸侯に下さる馬、お馬御囲場の野馬の追込み。……そのほか、馬具一切の修繕をする。……この渡辺利右衛門というのは、二年前まで、三里塚の御馬囲場の野馬役で、不思議と馬を見ることが上手なので、お囲場から択りぬかれて西丸へ呼上げられた。……なんでも、上総で名のある和学者の裔だそうで……」
「……和学と馬の尻尾。……これは、妙な取合せだな。……それで、どういう手ぐりで、そいつの仕業だということがわかった?」
「どうしても、こうしても、ありゃしません。追々、詮議がきびしくなると、もう、逃れられぬところと思ったんでしょう、辞世の和歌を一首残して腹を切ってしまったんです」
「ほほう、辞世とは振るっている。