Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.674 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

「藤波が……。それは、素早いの」

ふたりが話あっていると、眠っていると思っていた謡の隠居がモゾモゾと起きだして、

「……ええ、そのことなんでございますが……」

顎十郎は振りむいて、

「これは、ご隠居さん、眠っていらっしゃるのだと思って声もかけませんでしたが……」

六十ばかりの品のいい老人で、ひとつまみほどの白髪の髷を頭にのせている。膝行るようにして寄って来て、

「眠るどころのだんじゃございません、さきほどから、お話をうかがっておりました」

と言って、眼をしょぼつかせ、

「……お話のようすでは、まだご存じなかったようですが、南番所へ引きあげられた浪人者というのは、あなたもご存じでしょう、いつも肩だすきで傘張に精だしている、すぐ裏の浪人者……青地源右衛門……」

「知らないわけはない……糊売ばばあの奥どなりの、……源吾とかいう子供とふたり暮しの……」

「へえ、そうでございます」

「話はしたことはありませんが、手前の二階の窓からちょうど眼の下で、なにしろ、ひと間きりの家だから、いやでも胴中まで見とおし。……四五日前に、子供が熱を出したとかで、だいぶと心配らしく見えましたが……。