Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.819 Zeichen · 26 Bildschirme
などをかつぎ出して煙に巻いたところなんざ、天晴れなお手のうち、見なおしましたよ」
とど助の土々呂進は、やあ、と額に手をやって、
「褒めてくれては困る。ああいうテをいつも用いるように思われては、いささか赤面いたす」
「そういったものではありません。軍略は武士のたしなみ。こういうのを泥鰌鯰の戦法とでも言うのでしょうか」
「はッはッは、まアそんなところでしょう。……これで、腹もくちくなったし、身体も煖まった。では、そろそろ戻ることにいたそうかな」
また、空駕籠をかついで、いいご機嫌のふたり、空ッ風もなんのその、鼻唄を歌いながらだらだらの狸穴坂を森元町のほうへ降りかける。
熊野神社のそばまで来ると、暗闇の中から、五音をはずした妙なふくみ声で、
「もしもし、駕籠屋さん……」
たぬき旦那
片側は櫟林で、片側は土手。熊笹が風にゆらいでいるばかり。闇をすかして見たが、人影など見えない。
アコ長は怪訝な顔で、
「ねえ、とど助さん、今、たしかに、駕籠屋さんと言ったようだったが」
「わしも、そう聞いた」
「でも、人ッ子ひとりいやしません」
「いかにも、誰もおらンな。妙な晩だの」
「あまり乗せたい乗せたいと思ってるもンだから、気のせいでそんなふうに聞えたのでしょう」