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Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.819 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、狸なんだからとがめ立てをしたってしょうがない。

護国寺のわきを入って豊島ガ岡、奥深い森につづいた茫々の草原の入口で駕籠をおろすと、狸め、びっくりしたような顔で、

「おや、こんなところなんでございますか」

と、恍けたことをいう。

「これが約束の場所だ」

「へい、そうですか。では、ここで降りましょう」

すると、原っぱの奥で、きまって、ポンポンとかすかな鼓の音がきこえる。腹の丈夫な狸がいてここだという合図の腹鼓をうつのらしい。

その音をきくと、狸は、嬉しそうな顔をして、

「ああ、あそこらしゅうございます。わたしを呼んでおります。ありがとうございました。では、さようなら」

「気をつけておいでなさい」

狸は、お辞儀をして、ひょろりと草原の中へ入りこむと、すぐ姿が見えなくなってしまう。

これで二両。

偽金じゃない。それも性のいい乾字小判。

二人とも、すっかり大有卦に入って、こいつアいいや、で、毎晩せっせと狸を送りとどける。

その、七日目の晩。

例の通り、欅の下に駕籠をおいて待っていると、

「ちょいと、駕籠屋さん」

と、仇っぽい声がする。

アコ長、眼を見はって、

「ねえ、とど助さん。