Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.783 Zeichen · 22 Bildschirme
れいの凝性で本式に腰蓑一つになって丈一の継竿をうち振りうち振り、はや他念のない模様である。
気の毒なのはひょろ松で、質にとられた案山子のように、ぶざまにじんじんばしょりをし、遠くから竿をのばして、気がなさそうに糸を垂れている。
ところで、顎十郎のほうはいそがしい。
いつもののっそりにひきかえて、なにが気にいらないのか、糸をおろしたと思うとすぐまた引上げ、上によったり下によったり、そうかと思うと、渚の水を蹴返しながら又ひょろ松のそばへもどってくる。
さすがに、ひょろ松も気にしだして、
「阿古十郎さん、あなた今日はちと、どうかしていますぜ。……そう、裾から火がついたように駈け廻ったって魚は釣れやしません。……あっしと並んで、ここでしばらく、じっくり鈎をおろしてごらんなせえ」
顎十郎は、のほんとした顔で、
「おれは、魚と駈けッくらべをしてる気なんだが、なるほどどうも追いつけねえの。……ふん、じゃあ、ここで腰をおちつけてみるとするか。……だが、ひょろ松、ここでじっくり糸を垂れていると、……かならず釣れるか、おまえ、きっとうけあうか」
みょうにからんだようなことをいう。