Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.783 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

ひょろ松は、へこたれて、

「うけあうという訳にはいきませんが、まあ、ひとつやってごらんなさいまし」

「まあ、じゃ、いやだ。おまえが、かならず、うけあうといわなきゃア、この辺で水を蹴ッくらかえして釣れないようにしてやる」

「こりゃアおどろきましたな。……じゃ、まあ、うけあいますからやってごらんなせえまし」

顎十郎は、ニヤリと笑って、

「よし、とうとううけあうとぬかしたな。きっとおれに釣らせるな。……ときに、ひょろ松、おれが釣ろうというのは、腹の白っこい、指ほどの鱚じゃねえんだぜ」

「へへ、じゃ、鉄炮洲で赤穂鯛でも釣ろうとおっしゃるんですかい」

顎十郎は、首をふって、

「いや、もっと大きい」

「ごじょうだん。……じゃ、三崎の真鰹でもひきよせようッてんですかい」

「どうして、まだまだ」

顎十郎のいい方はすこし憎体である。

ひょろ松はムキになるたちだから、ムッとして、

「じゃア鯨でも」

顎十郎は渚に棒杭立ちになったまま、ながい顎の先をつまみながら、

「いや、そうまで大きくはない」

「それじゃアあっしにはわかりかねまさ。……夕風に吹かれながら、こんなところであなたと魚づくしをやる気はねえのだから、鮫なと海坊主なとお好きなものをお釣りなせえ。