Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.248 Zeichen · 27 Bildschirme
……して見ると、なかなかどうも、怪しからん話だ」
と、とりとめない。
ひょろ松は、手でおさえて、
「そのお詫びは、いずれゆっくりいたしますが、実ア、藤波は、あっしのところへも手紙をよこしましたんで、読んで見ると、くやしいが、なるほど思いあたるところがある……」
「なんて言ってりゃア世話はねえ……この節、御用聞の値が下ったの」
「なんと仰言られても、一言もございませんが、森川の旦那には内々で、どうか、もう一度だけ、お助けを……」
頭を掻きながら、ありようを手短かに語り、
「情けねえ話ですが、歯軋りをしながら、杉の市をしょっぴいて来て、調べて見ると……」
「……杉の市じゃアなかった」
「えッ、ど、どうして、それを……」
「なにを、くだらない。下手人が杉の市なら、藤波がわざわざ言ってよこす筈アなかろう、つもっても知れるじゃないか」
「いや、もう、ご尤も。……それで、杉の市をぶッ叩いて見ると、一時は、しんじつ、そうも思ったこともありましたが、もとはと言や、こちらの莫迦から出たこと、相手をうらむ筋はねえ、もう、あきらめておりやした。……それに、仮りに、あッしがやるとしたら、そんなドジな、ひと目であッしの仕業とわかるような、そんな殺り方はいたしますまい。