Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.248 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうとばかりは言われねえさ。……これで落になったわけじゃない、まだ後があるのだ」

顎十郎は、ニヤリと笑って、

「ときに、この座敷は今朝のままになっているといったな」

「へえ、塵ッ葉ひとつ動かしません」

「そんなら、あそこを見ろ……長火鉢の端の畳の上に、酒の入った銚子が一本おいてあるだろう」

「ございます」

「千賀春が坐っていたように長火鉢のむこう側へすわって、手をのばしてあの銚子を取って見ろ」

ひょろ松は、立って行って長火鉢のむこう側へすわり、火鉢越しにせいいっぱい手をのばして見たが、とても銚子までは届かない。

「おい、ひょろ松、たったひとりで独酌をやっているやつが、そんなところへ銚子をおくか?……二人が忍んで来るすこし前に、誰かここで千賀春に酌をしていたやつがある」

「……なるほど」

「ついでだから、言っておくが、杉の市も下手人でなけりゃあ、角太郎も下手人じゃねえ」

「えッ」

「千賀春は、二人がやって来る前に……もう、死んでいたんだ」

ひょろ松は、膝を乗りだして、

「……するてえと、ここにいたやつが本当の下手人なんで」

顎十郎は、のんびりした顔で天井をふりあおぎながら、