Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.248 Zeichen · 27 Bildschirme
……心臓の真ン中。……あそこへ鍼を打たれたら、こりゃア、ひとったまりもねえの」
千木は、感にたえたようすで、
「なるほど、うまく企みやがった」
「近所で聞き合わして見ると、杉の市という按摩鍼が、いつも千賀春のところへ出入りしていたという。……内職は小金貸。……これが、夫婦になるとかなんとか、うまく千賀春に蕩らしこまれ、粒々辛苦の虎の子を根こそぎ巻きあげられ、死ぬとか生きるとか大騒ぎをやらかしたというのは、ついこないだのこと……」
といって、眼の隅から、ジロリと千太の顔を眺め、
「なんのこたアねえ、こいつが、左きき」
「おッ、それだ」
「そこで、おりゃア、つい先刻、顎十郎に手紙を書いて持たせてやった。……千賀春こと人手にかかってあえない最期。辱知の貴殿に、ちょっとお知らせもうします、といってな」
千太は、むっとした顔つきになり、
「こりゃア、旦那のなさることとも思えねえ。……そ、そんなことをしたら……」
藤波は、手酌でぐっとひっかけておいて、驕慢に空嘯くと、
「ふッふッふ……ところで、甚だ遺憾にぞんずるが、杉の市は直接たっての下手人じゃねえ。どうしてどうして、これにゃア複雑んだアヤがある。