Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.327 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

顎十郎のほうは、ひどく上機嫌で、ああんと口をあけて、からす凧を眼で追いながら、

「……もう、間もなく、むこうの小田原町のほうから鳶凧がやって来て、ここでひと合戦はじまります。このへんで、ゆっくり見物しますかな。……それにしても、ただぼんやり見ているのも無聊。……さいわい手前もからす凧を持って来ましたから、この塀そとで凧あげをしましょう。……どうです、藤波さん、あなたもひとつ。……これが風をはらんで空に舞いあがって行くのを見ていると、なんとなく気宇が濶けて愉快なものです」

藤波は焦立って、

「あげるなら、あげるがよろしいが、さっきの話のほうはどうなるんです。……なにか、奇妙なものを見せるということだったが……」

顎十郎はニヤリと笑って、

「ですから、これよりおもむろにご高覧に供します。……せいてはことを仕損ずる。……まあまあ、手前の凧あげでも見ておいでなさい。……仙波阿古十郎、これから凧をあげます。神田小川町は凧八のからす凧、これよりとんびお迎いのていとござい」

テンテレツク、と口三味線で囃しながら、器用な手つきで凧糸をさばき、はずみをつけてヒョイと風に乗せる。