Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.040 Zeichen · 26 Bildschirme
「いつもながら、お役目大儀。国をあげて外事に没頭し、たれもかれも、派手派手しく立働いているが、眼に見えぬ御両所の秘潜のお骨折があればこそ、ゆるぎなく御府内の安寧がたもっておる。まずまず、お礼の言葉もない。……ところで、明日はいよいよ鶴御成。国事多端のおりからにも古例を渝えたまわず、民情洞察の意をもって鷹野の御成をおこなわせられること、誠にもって慶祝のいたり、物情騒然たる時勢、御道中警備の手はずには、もとよりぬかりのないことであろうが、それについて……」
といって、こころもち膝をすすめ、
「……ここに、意外なことが出来したというのは、ほかでもない。お上がかねてお手飼いなされ、ことのほか御寵愛なされた『瑞陽』ともうす丹頂の鶴。……いかなる次第か、この夏ほどよりおいおい衰弱いたすので、小松川の御飼場へお渡しになり、下飼人十合重兵衛というものに介抱をお命じになっていたが、今朝ほど重兵衛が代のかこいに入って見ると、『瑞陽』のお鶴が死んで水に浮かんでおった」
ゆっくり、苦茗をすすり、
「……鳥見役、網差、両名立ちあいにてお鶴医者滋賀石庵が羽交の下をあらため見たところ、胸もと、……心の臓のまうえあたりに二の字なりの深創がある。