Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.028 Zeichen · 30 Bildschirme
……なぜそんな手間のかかることをなすったかと言えば、屋敷のものに自分の行くさきを知られたくないから、もうひとつは、手前に屋敷のありかをさとらせまいため……」
「………」
「なにもそんなに、びっくりしたような顔を、なさらなくてもよろしい。種をあかせばわけのないことなんです。……拝見いたしますところ、あなたのお羽織の背中に、俗にアンダ皺という、背もたせのぶっちがい竹の跡がついている。お屋敷の乗物ならいうまでもない。町駕籠にも、しょうしょうましなあんぽつのほうならば、背がかりに小蒲団をかけてあるから、羽織に竹の跡などがつくわけがない。……また土佐屋の切手にしろ、ただそれを買うだけのためなら、なにもわざわざ日本橋までおいでになるこたアない。土佐屋は田村町にもあれば、この本郷にもたくさんあります。つまり、自分の行くさきと屋敷のある方角をくらますのが、その目的」
「………」
「さて、真砂町一丁目までくると、更科の前で駕籠をかえし、二階へあがって硯と筆をかり、名札にちょっと細工をした」
「………」
「石口十兵衛とあるところへ、山と十とゝを書きたして、岩田平兵衛となおした。