Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.028 Zeichen · 28 Bildschirme
「よしよし。……それで、市村座のほうはどうだった。役者で駈落ちしたようなものはいなかったか」
「ご承知のように、ゆうべは、三座の新狂言名題読みの日で、猿若町は上方役者の乗りこみで、夜っぴてひっくりかえるような騒ぎ、市村座でも、太夫元から役者、狂言方、下廻りまで全部三階にあつまって寄始めの酒宴をしておりましたが、ひとりも欠けたものがございませんでした。……変った聞きこみといえば、十五日のおもよおしのため、紀州様から髪、衣裳、下座一式のご注文があったというくらいのものでございましたが、それとは別にちょっと妙なことを小耳にはさんだんでございます」
「ふむ?」
千太は喜色満面のていで、
「それが、実にどうも馬鹿馬鹿しいような話なんで……」
「なんだ、早く言え」
「れいの、お祖師さまのお声というのを、はっきりと聞いたものが八九人いるんでございます」
「それが、どうした」
「だれが聞いたところでも、それが、ひどい佐賀なまりだったというんです。……ねえ、旦那、お祖師さまのご生国は安房の小湊、佐賀なまりのお祖師さまなんざ、ちと、おかしいでしょう」
藤波は、眼つきを鋭くして、なにか考えこんでいたが、とつぜん、ふ、ふ、ふと驕慢に笑いだし、