Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.028 Zeichen · 28 Bildschirme
驕慢で通してきた俺だ。せめて、最後もそれらしく、と突兀と肩をそびやかして控えているところへ、甲斐守がかるがるとした足どりで入って来て、座にもつかぬうちに、
「おお、藤波か。さすがは江戸一の折紙つき。……今度はよくぞやった。褒めてとらすぞ」
春の海のような喜色を満面にたたえ、はずむように褥にすわり、
「今朝の復命書、さっそく阿部さまにご披露した。……木戸を出ぬなら、木戸うちにいるのでなければならぬ。木戸うちにいるとすれば、紀州さまの屋敷うちより外にないはず。十二の門を通らぬならば、十三番目の門から入ったのであろう。十三番目の門とは、すなわち不浄門。そこからひそかに運び入れ、おのれの局に隠した。理由は、お催しものの急な模様がえ。芝居くらべでは、しょせん、勝味はないと見こみ、せっぱつまって考えだしたあさはかな神隠し……とは、実にあっぱれな明察。……北町奉行からもほぼ同様の復命書がとどいたが、そちのほうが二刻ばかり早かった。……阿部さまもことごとくご感悦。至極とおおせられたぞ。……うれしいな。そちも喜べ」
サラリと白扇をひらいて、それを高くかざした。
畳が四方からまくれあがって来て、その中に自分がつつみこまれるような気がし、藤波は、気が遠くなって、がっくりと、胸の上に頭をたれた。