Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

かおのびについて

顔の美について

伊丹 万作

Lesen Sie 顔の美について (かおのびについて) von 伊丹 万作 (いたみまんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.689 Zeichen · 4 Bildschirme

Aozora Bunko

人間が死ぬる前、与えられた寿命が終りに近づいたときは、その人間の分相応に完全な相貌に到達するのであろうと思う。

完全な相貌といつただけでは何のことかわからぬが、その意味は、要するにその人の顔に与えられた材料をもつてしては、これ以上立派な形は造れないという限界のことをいうのである。

私は時たま自分の顔を鏡に見て、そのあまりにまとまりのないことに愛想が尽きることがある。私の顔をまずがまんのできる程度に整えるためには私は歯を喰いしばり、眉間に皺を寄せて、顔中の筋肉を緊張させてあたかも喧嘩腰にならねばならぬ。しかし二六時中そんな顔ばかりをして暮せるものではない。

おそらくひとりでぼんやりしているときは、どうにもだらしのない顔をしているのであろう。

その時の自分の顔を想像するとちよつと憂鬱になる。

気どつたり、すましたりしていないときでも、いつ、どこからでも十分観賞に堪え得る顔になれたら自由で安心でいい心持ちだろうとは思うが、他人から見て立派な顔と思われる人でも、本人の身になれば、案外不安なものかもしれない。

私が今まで接した日本人で一番感心した顔は死んだ岸田劉生氏であるが、そのあまりにも神経質な言行は、せつかく大陸的に出来上つた容貌の価値を損ずるようでいかにも惜しく思われた。