Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

かぜはささやく

風はささやく

小川 未明

Lesen Sie 風はささやく (かぜはささやく) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.961 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

ある日、彼は、停車場で、美しい女の人を見ました。ようすつきから、この土地の人でなく、旅の人だということがわかりました。そして、いいしれぬやさしい顔は、かえって悲しみをさえ感じさせたのです。彼は、その人の顔を忘れることができませんでした。汽車が遠く去ってしまった後、かぼちゃの花の咲く圃に立ち、無限につづく電線の行方を見やりながら、自由に大空を飛んでいるつばめの身を、うらやんだことがありました。

ちょうど、そのころ、他国から帰った、親類のおじさんがありました。一同は、この人のことを道楽者だと、よくいわなかったけれど、彼には、いつも思いやりのある言葉をかけてくれたし、怒った顔を見せなかったので、なんとなく慕わしく思われました。おじさんは、孤独なのが、さびしかったのでしょう、ときどきマンドリンなど鳴らして、独りで自分をなぐさめていました。このことを知ったときから、彼にも音楽が、なによりか好きなものとなったのです。

彼の少年時代は、いつしか去りました。そして、小さな町をはなれて、大きな市へ移るころには、彼はもうりっぱに働きのできる若者でありました。けれど、心に芸術を忘れなかったのです。