Japanische Klassiker mit Furigana
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ふろくようのはなし
風呂供養の話
田中 貢太郎
Lesen Sie 風呂供養の話 (ふろくようのはなし) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.200 Zeichen · 5 Bildschirme
勘右衛門はその時、女房が旅僧から金を貰い、そのうえ、千代を嫁にしたいと申し込まれていると云うことを聞かされた。勘右衛門の苦悶は絶頂に達したが、頭を痛めるのみでどうすることもできなかった。
旅僧は潔癖で、風呂が好きであった。千代はいつも湯殿へいって背中を流したり、肩を揉んでやったりした。其の夜も旅僧は湯槽につかって、気もちよさそうに手拭で肩から胸のあたりを流していた。
外には月の光が漂よっていた。と、不意に風呂場へ忍び寄った覆面があった。覆面の手には種ヶ島が握られ、火縄の端が蛍火のように光っていた。
千代が銃声に驚いて駈けつけた時には、旅僧は胸に弾丸をうち込まれて、その血で湯を赤く染めている処であった。千代はきっと云って其処へ倒れてしまった。
殺された旅僧は、政治犯人ではなく、諸方を荒した強盗であるとのことであったが、はっきりしたことは判らなかった。
そこで、警察の方では、旅僧の死体を葬るとともに、旅僧を惨殺した犯人を捜査したが、それも手がかりがなかった。
それがために、旅僧の処置に困っていた勘右衛門に嫌疑がかかり拘引せられることになった。哀れな千代は、そんなこんなで気が狂った。