Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ふうちそう

風知草

宮本 百合子

Lesen Sie 風知草 (ふうちそう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.107 Zeichen · 88 Bildschirme

Aozora Bunko

拘置所では世間並に髪を生やしておくのにさえ蓄髪願という書類を出さなければならなかった。こんな大きい髯をもっているために、この同志はどんな書類を書き、人間は自分の髯については、それをのばしても刈っても自由な権利をもっているのだということについて、がんばって来たのだろう。人権に関する最初の戦利品というようなその髯をみて、ひろ子は微笑をおさえることが出来なかった。

髯の同志がきょうの世話役らしく、暫くすると階段の下から、

「みんな、集って下さい」

また響きのいい声で呼んだ。牧子と子供とが、どうしようかしら、という風にひろ子のわきに立って躊躇しているのに目をとめた。

「あなたも来て下さい。遠慮なんかいりゃしない」

一同は二階の一室の三方へ詰って坐った。建物のはずれの室で二方に大きい窓が開いた床の間つきの六畳であった。二三人の男のひとたちが、床の間のかまちに腰かけて、三尺の入口のふみこみのところだけ、すこしすきがのこされた。

「あ、ようござんす。それはまたそれで、あとからやりますから……」

ござんす、というところがいく分鼻にかかる訛りを響かせながら、坐っているみんなに挨拶するようにして徳田球一が入って来た。