Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうぼう
風貌
小山 清
Lesen Sie 風貌 (ふうぼう) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.448 Zeichen · 32 Bildschirme
太宰さんは私が見かけが非常に若く見えるところから、私の年もちょうどその位に思い込んでいるようであった。太宰さんは途中で鮨屋に寄った。あの「鴎」に出てくる鮨屋である。太宰さんは友人へのお土産に鮨を一円誂えた。鮨屋の主人はすぐは工合悪いようなことを云ったが、太宰さんは「そこを曲げて。」と押し強く云った。そのときの太宰さんのへんに粘り強い声音がその後しばらく私の耳に、残った。私たちは鮨の出来上がる間、椅子に腰かけて話した。私が描写が拙いのは生活が流動していないせいでしょうかと訊くと、うん、それもあるとうなずいた。太宰さんは印象の正確を期することが肝腎だと云ったのである。京都に君と同じ年頃の青年がいて原稿を送って来たが、五年勉強してそれからまた見せてくれと云ってやったと云い、「君はこれから、いろんな目にあうよ。僕の過去は地獄の思いだった。」と云った。私はこのときも自分が三十歳に成るということを云いそびれた。太宰さんは私が手にしていた原稿を取って、パラパラとめくって、ある箇所を指摘し、「僕はこういう雰囲気は好きだよ。」と云った。ともかく私の原稿が、太宰さんに私というものを幾分か伝えることの出来たのを私は知った。