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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょくま

食魔

岡本 かの子

Lesen Sie 食魔 (しょくま) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.911 Zeichen · 74 Bildschirme

Aozora Bunko

この料理に就ても、彼には基礎の知識があった。これは西園寺陶庵公が好まれる食品だということであった。彼は人伝てにこの事を聞いたとき、政治家の傍、あれだけの趣味人である老公が、舌に於て最後に到り付く食味はそんな簡単なものであるのか。それは思いがけない気もしたが、しかし肯かせるところのある思いがけなさでもあった。そして彼には、いわゆる偉い人が好んだという食品はぜひ自分も一度は味ってみようという念願があった。それは一方彼の英雄主義の現れであり、一方偉い人の探索でもあった。その人が好くという食品を味ってみて、その人がどんな人であるかを溯り知り当てることは、もっとも正直で容易い人物鑑識法のように彼には思えた。

鍋の煮出し汁は、兼て貯えの彼特製の野菜のエキスで調味されてあった。大根は初冬に入り肥えかかっていた。七つ八つの泡によって鍋底から浮上り漂う銀杏形の片れの中で、ほど良しと思うものを彼は箸で選み上げた。手塩皿の溜醤油に片れの一角を浸し熱さを吹いては喰べた。

生で純で、自然の質そのものだけの持つ謙遜な滋味が片れを口の中へ入れる度びに脆く柔く溶けた。大まかな菜根の匂いがする。