Japanische Klassiker mit Furigana
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しょくま
食魔
岡本 かの子
Lesen Sie 食魔 (しょくま) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.911 Zeichen · 74 Bildschirme
に過ぎなかった。彼は衒学的な口を利くことを好むが、彼には深い思惟の素養も脳力も無い筈である。
これは全く押し詰められた体験の感じから来たもので、それだけにまた、動かぬものであった。彼は少青年の頃まで、拓本の職工をしていたことがあるが、その拓本中に往々出て来る死生一如とか、人生一泡滓とかいう文字をこの感じに於て解していた。それ故にこそ、とどのつまりは「うまいものでも食って」ということになった。世間に肩肘張って暮すのも左様大儀な芝居でもなかった。
だが、今宵の闇の深さ、粘っこさ、それはなかなか自分の感じ捉えた死などいう潔く諦めよいものとは違っていて、不思議な力に充ちている。絶望の空虚と、残忍な愛とが一つになっていて、捉えたものは嘗め溶し溶し尽きたら、また、原形に生み戻し、また嘗め溶す作業を永遠に、繰返さでは満足しない執拗さを持っている。こんな力が世の中に在るのか。鼈四郎は、今迄、いろいろの食品を貪り味ってみて、一つの食品というものには、意志と力があってかくなりわい出たもののように感じていた。押拡げて食品以外の事物にも、何かの種類の意味で味いというものを帯びている以上、それがあるように思われている。