Japanische Klassiker mit Furigana
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きがちたいをあるく
飢餓地帯を歩く
下村 千秋
Lesen Sie 飢餓地帯を歩く (きがちたいをあるく) von 下村 千秋 (しもむらちあき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.478 Zeichen · 31 Bildschirme
ですから、四百人近くの生徒の中で、その十銭の入場券を買い得たものはたった六人でした。活動写真といえば、子供は泣くほど見たいのですが、その金がないのです。そんな訳で、この村中六百軒あまりから集った金が僅か二十円足らずであったそうですが、そしてこの金こそ全く血の出るような金ですが、それを全部、在満の軍人へ送ってしまったのです。この純朴な忠君愛国熱は非常なもので、この地方の百姓達はみんな『一太郎ヤーイ』のお婆さんのような人達ばかりです」
この村の今年の凶作状態を見ると、一反二石が平作であるに対し、一反(三百坪)三斗乃至四斗であった。また全村総反別二百町の二割までは全然無収穫であったという。そうして百姓達は、粟と稗とで飢えをしのぎ、更らに山地の百姓達になると、シダミと称する楢の実をふかして食い、わらびの根を澱粉として腹を充たしているというのだ。従って、全村の小学校児童九百名のうち、四百名までは欠食児童であるというのだ。この事実と、今の話、在満軍人慰問金との話とを思い合わせて、私は、何とも言えなくなったのであった。
私は最後に言ったのである。
「じゃ、この地方の人達は、今、食うものを食わず着るものを着ずという状態ですね?」