Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうおうふじん
饗応夫人
Lesen Sie 饗応夫人 (きょうおうふじん) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.914 Zeichen · 13 Bildschirme
になったし、お客の見えないのをさいわい、逃げるように奥さまをせきたて、雨戸をしめ、戸じまりをして、玄関に出たら、
南無三宝!
笹島先生、白昼から酔っぱらって看護婦らしい若い女を二人ひき連れ、
「や、これは、どこかへお出かけ?」
「いいんですの、かまいません。ウメちゃん、すみません客間の雨戸をあけて。どうぞ、先生、おあがりになって。かまわないんですの。」
泣くような笑うような不思議な声を挙げて、若い女のひとたちにも挨拶して、またもくるくるコマ鼠の如く接待の狂奔がはじまりまして、私がお使いに出されて、奥さまからあわてて財布がわりに渡された奥さまの旅行用のハンドバッグを、マーケットでひらいてお金を出そうとした時、奥さまの切符が、二つに引き裂かれているのを見て驚き、これはもうあの玄関で笹島先生と逢ったとたんに、奥さまが、そっと引き裂いたのに違いないと思ったら、奥さまの底知れぬ優しさに呆然となると共に、人間というものは、他の動物と何かまるでちがった貴いものを持っているという事を生れてはじめて知らされたような気がして、私も帯の間から私の切符を取り出し、そっと二つに引き裂いて、そのマーケットから、もっと何かごちそうを買って帰ろうと、さらにマーケットの中を物色しつづけたのでした。