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Japanische Klassiker mit Furigana

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くびちょうだい

首頂戴

国枝 史郎

Lesen Sie 首頂戴 (くびちょうだい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.756 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

と、スルスルと廻廊へ出た。

襖を蹴仆す音がして、踏み込んで来たのは捕方である。

チラリと振り返った奇怪な乞食、ヒョイと右手を宙へ上げたが、恰も巨大な暁の星が、空から部屋へ飛び込んだように、一瞬間室内輝いた。

眼を射られて蹣跚いた捕手が、正気に返って見廻した時には、首の無い山内伊賀之助の、死骸が残っているばかりで、乞食の姿は見えなかった。

六

さてそれから一年がたった。

淀川堤に春が来た。

例の穢い蒲鉾小屋に、例の乞食が住んでいた。そうして例の女がいた。だが女の風俗は、きらびやかな花魁の風ではなく、男と同じ乞食姿であった。

茶も立ててはいなかった。香も焚いてはいなかった。蒔絵の硯箱も短冊もない。で勿論茶釜もなかった。名刀を仕込んだ青竹ばかりが、乞食の膝元に置いてあった。

白木の箱が置いてある。

どうやら大事の品らしい。

春陽が小屋の中へ射し込んでいる。街道を通る旅人が見える。淀川の流れが流れている。

白帆が上流へ帆走っている。

「流石は山内伊賀之助、眼力に狂いがなかったよ」

こういったのは乞食である。寂しい苦笑が口許に浮かび、顔全体を憂欝に見せる。