Japanische Klassiker mit Furigana
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こうでん
香奠
豊島 与志雄
Lesen Sie 香奠 (こうでん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.989 Zeichen · 46 Bildschirme
「私は初め、先生くらいになられると、国の者が大勢出入りしとるに違いないと思っておりました。所が来てみると、私がお家にいた間中、それから後も時々上る折に、国の者の来たためしがありません。どうも不思議です。先生が故郷を愛していらっしゃらないからです。」
それを聞いて私は、不平を云ってるなと面白く思っただけで、気にもとめませんでした。故郷に対する私の感情は前に申した通りです。
母上
これは前と関係のないことですが、ついでにお話しておきましょう。
私の家にアイスクリームを拵える簡便な器械がありました。牛乳と卵と砂糖と氷とを入れて、その蓋の上の柄を廻すんです。然し三十分近くも廻していなければなりませんので、女達は却って厄介に思っていました。所が六月の或る蒸し暑い日に、平田伍三郎がやって来た時、妻はその器械のことを思いついて、彼にアイスクリームを拵えさしたそうです。
それからというものは、彼は私の家に来る毎に、必ずアイスクリームを自分で拵えました。それもアイスクリームが食べたいからというのではなく、その器械の柄につかまって、背中に汗をかきながら、ぐるぐる三十分近くも廻し続けることが、彼の気に入ったかららしいんです。