Japanische Klassiker mit Furigana
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こうでん
香奠
豊島 与志雄
Lesen Sie 香奠 (こうでん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.989 Zeichen · 46 Bildschirme
なか一日おいて、翌々日の午頃、会社へ電話がかかって来ました。出入の商人の家のをかりて、女中がかけたのです。平田さんと仰言る方が見えましたから、奥様から……というそれだけのことでした。それでも私は何だか気になるものですから、早めに会社から家へ帰ってきました。
母上
私は小い時郷里を離れて、夏の休暇以外は他郷で暮してきましたし、学校を出てからは滅多に帰省することもなかったものですから、故郷の村人達へ余り親しみを持ってはおりません。まして、隣村に平田という姓の人がいたかどうかも知りませんし、平田伍三郎とは全く初対面の他人だったのです。その平田伍三郎が、ふいに私の家へやって来て、朝の十時頃から午後三時すぎまで、座敷の中にきちんと坐り通していたのです。少くとも私が座敷にはいっていった時は、両膝と両手とを揃えて端坐していました。こわい真黒な髪の毛を五分刈にし、額の骨立った浅黒い顔を挙げ、仕立おろしの久留米絣を着ていました。その着物の――羽織と着物との――法外に綿をつめ込んだらしい厚ぼったい感じと、その両手の節々の頑丈さとが、変に私の注意を惹きました。
「先生にゃ初めてですが、先生のお母様にゃ何遍も国で……。