Japanische Klassiker mit Furigana
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こうでん
香奠
豊島 与志雄
Lesen Sie 香奠 (こうでん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.989 Zeichen · 46 Bildschirme
私はそこの窓際に腰掛けて、一寸言葉で云い現わせない気持に沈み込みました。平田伍三郎の儚い一生に対して何だか自分に責任があるような気がすると共に、誰もかもやさしくかき抱きたい気になったのです。そしてふと、彼の死をトタン庇の家の娘に知らしてやらなければならないと考えました。
そして私は、彼女の家へ公然と行くわけにもゆかないものですから、丸ビルとか三越とかそういった所の店員らしい彼女が出かけそうな時刻を見計って、往来で待ち受けたのです。
下宿屋の横の路次をはいって、大凡の見当をつけて表札を見ると、板倉寓として入口に御仕立物と小さな札の出てる家がありました。私はそれを見定めてから、表の通りに出て、その辺をぶらぶら歩き廻りながら、彼女が出て来るのを待受けました。
母上
その時、そんなことをしてる私を知ってる者が見たら、屹度笑ったに違いありません。あなたもお笑いなさるでしょう。然し私はごく真面目だったのです。
私の見当は外れませんでした。その小さな路次から、ハイカラな大きい束髪に結って、メリンスの派手な着物をつけ、フェルトの草履をはいた若い女が、手に一寸した何かの包みを持って、急ぎ足に出て来ました。